NHKスペシャル「迫る”介護崩壊”揺れる老後」を考える

NHK スペシャル
「迫る“介護崩壊”揺れる老後」
5月23日にNHKスペシャルでケアサロンさくら再開やコロナ禍における在宅の介護現場の現状について放送されました。
NHKスペシャルのディレクターやカメラマンが10カ月近い取材を重ねてこられたこともあり、様々な要素が凝縮されていて、見応えのある番組でした。

番組ではケアサロンさくらの閉所から再開までを追いながら、利用者家族の声を紹介したり、住民グループが足りないものリストをもって備品を集めて回る様子も放送されました。
新しい施設の再開を伝えると同時に、コロナ禍で見えてきた介護崩壊の危機もしっかり伝えていきます。
大越健介キャスターとの対談で田村憲久厚生労働大臣は報酬はしっかり上げていかなければならないという意識はあると話していました。
しかし一方ではその費用負担をめぐっては難しい問題もあると答えています。
鎌倉市内でもデイサービスや訪問介護事業所の閉鎖は珍しい話ではなくなりました。この頃は毎年いくつもの介護事業所の閉鎖の話が飛び込んできます。どうしてそういうことになるかと言えば、やはりあまりに低減化した在宅サービスの報酬体系の問題です。番組でもこの問題に真正面から向き合っていました。

介護だけでなく、病気になっても病院を早期に退院し、家で治療を続ける流れが国主導の下で出来できているのに、在宅の介護事業所が次々つぶれていったのでは本末転倒で、誰が要介護状態になった人たちを支えるのでしょうか?
在宅サービスは小規模事業者の努力で成り立っています。しかし、その経営は厳しく、人手不足が売り上げの減少を招き、さらに経営が困窮していきます。気がついたら介護サービスがない、そんな時代が近づいていると、東洋大学の高野龍昭准教授も警鐘をならしていました。
これは、介護の世界の構造的な問題が、私達の暮らしのあり方自体を問う問題になったということなのだと私は思いました。
10年前、私はしっかりとした資産を持たずに介護事業所を立ち上げました。
当然事業を行うにはお金が要りますから、金融機関が私の立てる事業の計画と展望を考慮して融資をしてくださり現在に至っています。
おかげさまで地域の人たちにオープンにする介護サービスの在り方も評価を頂いています。
この度、認知症デイサービス、ケアサロンさくらの再開を巡って、いまもこれからも、私も私の周りの人たちも、いまこの国に暮らすひとりひとりが、その背景にある課題と向き合う時期にきている、とそう思いました。
株式会社さくらコミュニティーケアサービス
代表取締役 稲田秀樹